【サックスの中堅モデルの位置づけ】
アルトサックスの中堅モデルとは、初心者向けのエントリーモデルとプロフェッショナル向けのハイエンドモデルの間に位置するサックスを指します。これらのモデルは、一定の演奏経験を持つ中級者や、より高い演奏品質を求める上級者に適しています。中堅モデルは、優れた音質、耐久性、そして演奏性を提供しつつ、ハイエンドモデルに比べてやや手頃な価格であることが特徴です。
代表的な中堅モデルのアルトサックスとしては、以下の機種が挙げられます。実際にプロ演奏家が使用しているモデルもあるため製品としての信頼性は高いといえます。
YAMAHA アルトサックス YAS-62
ヤマハのサックスラインナップのど真ん中。歴史が長く、ロングセラーのモデルで、初心者からプロフェッショナルまで幅広く支持されています。世界的トッププレーヤー「デイヴ・コーズ」氏がシルバープレートの楽器を使用していることで有名です。日本のプロプレーヤーでは「ユッコ・ミラー」氏が初期型を使用しています。
YANAGISAWA アルトサックス A-WO1またはA-WO2
軽い吹奏感を活かした「ライト仕様」。初心者から上級者まで幅広いプレイヤーに愛されるベーシックモデル。
これらのモデルは、初心者が使うエントリーモデルよりも高度な機能や改良が施されており、ハイエンドモデルに近い演奏を体験できますが、ハイエンドモデルほどの高価格ではありません。中堅モデルは、程よく演奏のスキルアップを目指す方や、ある程度良い音質を求める方に適した選択肢となります。
しかし、実際に中堅モデルと銘打っているモデルは少なく日本人の大好きな「無難なところ」の選択肢が狭い状況です。
【ジャズ・ポップス演奏がメインならこんな選択も】
アンティグア・ウインズ(Antigua Winds)
リーズナブルな価格帯でありながら、高い機能性と鮮やかなサウンドを提供するサクソフォンブランドです。セルマー・パリ社が手がける数々の銘器を扱う野中貿易が、海外の工房と提携して造り上げたブランドで、そのコストパフォーマンスは非常に評価が高いです。例えば、AS PROONE GL モデルは、アンティグアのアルトサックスの中でも特に人気があり、出荷前に調整されているため、届いたその日から最高の状態で演奏を始めることができます。
P.モーリア(P.Mauriat)
P.モーリアのサックスは、プレーヤーのニーズに応える上質なサウンドと操作性、音程の良さで知られており、多くのプロフェッショナル奏者にも推奨されています。その中でも、以下のモデルが特に注目されています:ビンテージルックのマットフィニッシュなど、個性的な仕上げの楽器も人気です。現在は新大久保の管楽器専門店ダクなどで取り扱いが再開されており、新しいプロモデルもラインナップされています。日本のプロプレーヤーでは「藤野 美由紀」氏が使用しています。
シャトー(Chateau)
シャトーのサクソフォンは、スタンダードシリーズとハンドメイドシリーズがあります。スタンダードシリーズは量産タイプで、イエローブラスを使用しており、一方、ハンドメイドシリーズは、より高品質なレッドブラスを使用し、クリアラッカー、ダークラッカー、ブラックニッケルメッキなどの仕上げがあります。
レッドブラスを92%含有する管体を採用しており、硬質な音色とレッドブラスの豊かさがブレンドされた奥行きのあるサウンドが特徴です。
【最初からハイエンドモデル手にするメリット・デメリット】
以前の記事でお話ししましたが、サックスに対する高い熱意とモチベーションがあるなら物欲や所有欲を満たせるハイエンドモデルを最初から手にするという選択肢があります。
ハイエンドモデルのメリット
音質の向上: ハイエンドモデルは、素材や製造技術が優れているため、豊かで洗練された音色で演奏できます。
耐久性: 高品質な材料と精密な組み立てにより、長期間にわたって安定した性能を維持します。
操作性: キーの配置やバランスが良く、演奏者の技術を最大限に引き出すことができます。
満足感: ハイエンドモデルを所有しているという満足感とともに練習意欲が沸きます。
再販価値: それ以上の機種への買い替えがほぼ不要になることでサックス本体への投資削減。また良質な楽器は中古市場でも価値が下がりにくく、投資としても魅力的です。
ハイエンドモデルのデメリット
高価格: ハイエンドモデルは非常に高価であり、初心者や趣味で演奏する方にとっては手が出しにくいことがあります。
メンテナンス: 高品質な楽器は適切な調整やメンテナンスが必要であり、そのコストも考慮する必要があります。
過度な保護: 高価な楽器を傷つけないように過度に気を使うことが、演奏に対する自由度を制限することがあります。
ハイエンドモデルのアルトサックスは、その優れた特性により多くのメリットを提供しますが、購入や使用にあたっては、デメリットも十分に理解し、自分の演奏スタイルや予算に合った楽器を選ぶことが重要です。どうぞ、ご自身にとって最適なサックスを見つけてくださいね。
素敵なサックスライフの参考になれば幸いです。